2011 04 23

food scape × 花宇

大阪・中ノ島のgrafで今日から開催される、「植物のある暮らしvol.4」。
プラントハンター西畠清順さんが世界中から集めてきた植物たちの
展示販売を行うこの人気企画シリーズ。

西畠さんの著書出版記念も兼ねた
オープニングパーティーへ遊びに行ってきました。

プラントハンター
      西畠清順(著)
      徳間書店 2011 Amazon

彼の仕事ももちろんですが、彼の命がけで熱狂的なほどの
エネルギーは今、多くの人の心を動かしています。
日本人が忘れかけていた情熱を、
彼の中に見出しているような気がしてなりません。

その西畠さん、初の単著。
自分たちが、この先の人生でも出会えるはずのない
世界の僻地に生息する植物たちと、
まるで出会えたような疑似体験をさせてもらえる一冊です。
才能をもつがゆえの苦悩の日々も。

うっかりデジカメを忘れ、携帯からなのであまり画質はよくないですが、
パーティーの様子も必見。少しだけご紹介します。
一見どこから植物で、どこから食物かわからない
カラフルで楽しげな食卓。

フードスケープ1

この空間を作り出したのは、料理研究家の堀田裕介さん
自ら農業も実践する彼は、フードスケープというジャンルを開拓し、
人と食空間、食そのものの新しいあり方を提案しています。

フードスケープ2

フードスケープ3

今回は、その堀田さんと西畠さんの最強タッグによるフードスケープ。
西畠さんの生家でもある花宇の温室内にあるたくさんの中から、
堀田さんが着想を得た植物を選び出し、
それに合わせた料理と空間がデザインされました。

花宇の個性的で圧倒的なエネルギーをもつ植物たちを
これほど魅力的においしく楽しく調理してしまうなんて!!
食材の組み合わせも絶妙でした。

フードスケープ4

フードスケープ5

手前の葉っぱは、アイスプラント。野菜です。
最近少しずつ見かけるようになってきましたが、
水滴のように透明のプチプチが表面にびっしりついてます。
これもちぎってみんなで食べました。ちょっと塩味でおいしい。

日々摂り続ける食事。
毎日意味を見出しながら食べる余裕はないかもしれませんが、
どうせ一生食べるなら、何も考えずに口に入れるだけでなく、
どこからきたものか、どう魅せるのか、どうすれば豊かな食事が
実現できるのか、立ち止まって考える日があってほしいものです。

地に足のついた、その土地に根付いた食。
けれども、ただ単に粗食にするだけでは、味気ない。
食べることをおろそかにせず、食べながら見る景色、
その時間を共有する人、すべてが相互に影響し合うはず。

フードスケープ6

今日お話していた方々と、このぶら下がっているエアープランツの
話になったので、今家に咲いてる花を最後にご紹介。

チランジアは品種も多く、これはいただきもので不明ですが、
イオナンタなのかな?

チランジア

鮮やかな色と個性的な形に、ちょっとびっくりしますね。
プラスチックみたいっていう人もいたなぁ。
posted by クラタ at 01:35 | Comment(2) | TrackBack(0) | 植物のアート

2010 09 06

CACTUS HERB GARDEN

「人を見捨てた」植物たち。
東信(あずままこと)がそう表現するサボテンたちが、
宮崎県日南市に存在している。

宮崎サボテンハーブ園1

日南海岸の真ん中あたり、太平洋に面する
小弥太郎峠の丘陵に広がっていた、宮崎サボテンハーブ園。
一面に海が望め、素晴らしく眺めのよい、日当たり抜群の傾斜地。

50万平米の園内に500種130万本のサボテンが自生する、
その光景たるや、圧巻。(→参考
60種3千株のハーブ温室と、70種2千株のサボテン温室も加わり、
とてつもない数の植物たちが、かつて繁茂していた。

宮崎サボテンハーブ園2

ここが、諸々の事情により閉園してからのち、
人の手を失った園内のサボテンたちは、
何の前触れもなく、突然まったく異なる環境にさらされることになる。

水や食料を求め、それまでの穏やかな表情からは一変、
刻一刻と本来の姿を取り戻しながら、
人の庇護をあてにすることを諦め、自ら動き出した。

CACTUS HERB GARDEN

その獰猛なほどの顔つき、躍動感ある肢体を
本能的・突発的に収めていった写真集こそ、
『CACTUS HERB GARDEN』。

とっくに完成しているのに、まだ発売はされていないようだが、
この”CACTUS HERB GARDEN”を舞台に、
今後10年ほどの、ゆるやかかつ確かな時間感覚で
映画化も予定されている。
posted by クラタ at 21:07 | Comment(0) | TrackBack(1) | 植物のアート

2010 03 22

MATERIALISM

VERTICAL GARDEN 後編です。

materialism1

場所は、京都市上京区・同志社大学の近くにあります。

三代伝わる機屋さんで、帯地を製造・販売されていたひなやに、
まだお若い伊豆藏直人社長が新たに立ち上げられた
MATERIALISMというラインのショールームです。

ひなやは帯地から始まり、自然染色を主に独自のテキスタイルを
次々発表されていて、伊豆藏明彦会長の肝煎りでスタートした
織物や染色の研究は今も続き、アポロという円形の織機で
作られた筒状の布地は、アート作品にもなりました。
そのような革新的な姿勢が、世界各地で共感を呼んでいます。

その一人、NYのファッションデザイナー
Susan Cianciolo(スーザン・チャンチオロ)は、
2003年から継続して、ひなやから生地提供を受けています。

彼女は、ブランド立ち上げ時の1995年からを変わることなく、
素材を再利用したり、使わなくなった生地を刻んで再加工したりと、
モノへの愛情を一貫して持ち続け、活動してきました。

今ようやく時代が追いついてきたせいか、
最近改めて脚光を浴び始めているように思います。

Susan Cianciolo1

2010年春夏テーマは「The Wisdom of Flowers(花の知恵)」。
オリジナルレシピによる「FLOWER RESTAURANT」を
限定オープンさせたり、愛娘がライラックちゃんだったりと、
植物はかなりお好きな様子です。

Susan Cianciolo2

そのチャンチオロの目に留まったのが、ひなやの生地。
クオリティもさることながら、オーガニックな製法、手仕事の技術、
製品のもつ力に魅せられて、交流を深めていかれたようです。

そんなひなやの今後を担う直人さんはかなり気さくな方でしたが、
パリのオートクチュールファッションを基礎とされていて、
現代アートにも関心が高く、AKIHIKO IZUKURAブランドから
新たな展開へ移行するための気迫を強く感じました。

その一環として、ショールームの改装が行われる際に
取り入れられたのが、VERTICAL GARDENでした。

VERTICAL GARDEN 1

冒頭の写真に見えるドアを開けたらすぐ正面にあり、
ガラス張りなので外からも見られます。
昨年冬に竣工し、もうすぐ初めての春を迎えるので、
成長はまだまだこれからですが、少し花も咲き始めていました。

VERTICAL GARDEN 2

パトリック・ブラン自身が設計に携わる場合も
その土地の在来種は必ず取り入れるようですが、
こちらも元々庭に植わっていたものをいくつか使われていました。

室内ということもあり、この後どんな風に育っていくのか
十二分に注目したいところです。
土日祝以外なら、どなたでもお気軽にということなので、
みなさんぜひ、遊びにいらしてみて下さい。

担当の大森理恵さんから、本当に丁寧なお答えをいただけるので、
気になることなどあれば、質問もしてみて下さいね。

materialism2

外階段にも、整然と並べられた鉢の行列が。
こっちのひっそりとした感じも好き。

Susan Drawing

スーザン・チャンチオロから贈られたというドローイングも気になる。
RESTAURANTにちなんでの作品??

ここで紹介している以外にも、MATERIALISMでは
映像作品とのコラボレーションで異分野との交雑を図ったり、
衣服への実験的なアプローチから、テキスタイルという枠を超えた
作用を探ってみたり、さまざまな試みを楽しんでおられます。

今はお忙しくもう少し先になるようですが、今後機会があれば
このショールームスペースを使った個展も考えてらっしゃるとか。

染色工房へも数十名の芸大生がこの春入社されたそうで、
若手が育つことでますます変身を遂げていきそうな
ひなやと直人さんの動向を継続して追っていきたいと思います。
posted by クラタ at 01:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 植物のアート

2010 03 17

VERTICAL GARDEN

直訳すると、「垂直の庭」。
フランス国立科学研究センターで植物学者を務める
Patrick BLANC(パトリック・ブラン)氏が開発した
「植物の壁」に付けられた名前です。
(英語版「Walls」、仏語版「Les Murs」をクリックすると作品へ。)

Quai Branly

VERTICAL GARDENは、パリのQuai Branly(ケ・ブランリ)美術館
外壁で飛躍的に有名になりました。
今では世界中に広く知れわたり、個人邸の内壁(うらやましい!)や
ショッピングモール、ホテルに高速道路の側壁など、
ありとあらゆる分野に進出して、その美しさを誇っています。

壁面緑化というと、今ではさまざまな工法がありますが、
こちらは土を一切使わないのが大きな特徴です。
そして、「エコ」などという一過性の合言葉のようなものとは
一線を画し、より生物学的なアプローチを目指して作られています。

彼は幼い頃から植物に興味が強く、実験を繰り返していたそうで、
研究者となってからも、熱帯雨林を中心にフィールドワークを行い、
(どんな虫に刺されても平気な強靭な身体を持っているとか・・・!)
植物が土のない岩や木で、地面から独立して生きることに着目。

そして、鉄フレーム+分厚い塩化ポリビニールシートの構造に、
植物用ポケットを作った不織布を取り付ける工法を完成させます。
水は岩場から流れ落ちるような感じで、液肥の混ざったものが
上部から自動潅水され、メンテナンスは年に数回で済むのだとか。

ここで一番重要になってくるのが、植物の選定。
日陰や屋内、炎天下など、それぞれのシチュエーションに適応する
植物を使うことで、仕上がりもその後の状態もまったく違います。
そういった理由から、彼はその土地固有の植物を多く用います。

Casa BRUTUS
       マガジンハウス
       2009.JULY vol.112 Amazon

最近までの自宅写真を『Casa BRUTUS』で公開していましたが、
たくさんの植物と動物が同居している驚異的な空間でした。
彼が設計した新しいオフィスは、床下がガラス貼りの巨大水槽で、
そこからまた、部屋中に植物が支配していく予定なんだとか。

そして、このVERTICAL GARDENは、日本でも見られます。
一番有名なのは、石川県の金沢21世紀美術館にある『緑の橋』。

緑の橋

その施工に携わった金沢の四緑園という会社がこの工法を
商標登録していて、すでに数件完成させています。

まずは四緑園の運営する、G-WING'S gallery

G-WING\'S gallery

さらに昨年末、京都にも1件設置されたと知り、
早速見に行ってきました。

(↑つづく)
posted by クラタ at 23:59 | Comment(2) | TrackBack(0) | 植物のアート

2010 02 08

淡路島北淡町のハクモクレン

MERRY PROJECTで阪神淡路大震災の話題が出たこともあり、
イズミさんからいただいたコメントの「ズレ」というお話にもつながる、
福田美蘭(みらん)さんの作品を少しご紹介したいと思います。

彼女は、のぼっちゃうでも登場した著名なグラフィックデザイナー
福田繁雄さんのお嬢さんで、80年代からすでに活躍されています。

私が初めて彼女の作品を生で見たのは、
2004年に描かれた、「淡路島北淡町のハクモクレン」。
ちょっと感動的でした。

淡路島北淡町のハクモクレン

言わずもがな、震災時の瓦礫写真を元に制作されていて、
下の方に小さく”写真提供 朝日新聞社”の文字が見える通り、
朝日新聞社の報道写真を彼女が転用しています。

その「転用」こそが、彼女の作品においては重要なキーワードで、
転用をしながらも、独自の世界観がそこには描かれています。

知らない土地の写真や、有名な画家の作品の中にでも、
彼女は「実際に身を置く」という行為をしています。
そこから見える風景や匂いを感じながら、
彼女はその「続き」を描いていきます。

この作品は、2005年に震災復興10周年記念公募展として
開催された「兵庫国際絵画コンペティション」に出品され、
来館者の投票で選ばれる「県民賞」を見事受賞しました。

幹にぶら下がっているのは、段ボール。
「この木を残してやって下さい」と書かれ、
雨にぬれないようビニールまでかぶせられています。

書き主は、この家に住んでいたおばあさんのお子さんたち。
せめて大切にしていたハクモクレンだけは・・・という思いで、
守ろうとされたそうです。→詳しくはコチラ

おそらく、福田さんはこの話を人づてに聞いて
作品を描かれたのだと思います。
本当に美しい絵でした。

その後、兵庫県立美術館所蔵作品となったので、
現在でも常設展で見られます。

毎年、満開のハクモクレンを見るたび・・・というより、
かえって落葉した丸裸のハクモクレンの姿を見るたび、
この絵を思い出し、空想の世界で花を咲かせたりしています。

湖畔1

同じような構造で描かれているものは、他にも多くあります。
↑黒田清輝の代表作『湖畔』(1897)と、
↓福田さんの『湖畔』(1993)。

描画力ももちろんのこと、
背後には広々とした「続き」が拡がっていて、
あたかも彼女が見てきた風景のように感じさせられます。

湖畔2

そうそうそう!!と心の中でつぶやきつつ、
その視点が持てなかった自分に若干苛立ちを覚えながら、
彼女の才能にすっかり惚れてしまいました。

黒田が描いた実在の場所そのものは、私たちが見ている景色と
そう変わらないはずなのに、キャンバスのサイズでしか
世界を見ていなかった自分に驚いたりもしました。

その他にも、彼女が生み出す面白い作品は数多くあり、
同じような意図で作品を作っているアーティストもたくさんいますが、
今日はひとまず、ここまで。

興味のある方は、ぜひこの「続き」をご自身で探してみてくださいね。



追記−イズミさん&みなさんへも!

「開館20周年記念展
コピーの時代 −デュシャンからウォーホル、モリムラへ−」
2004.06.05−09.05
滋賀県立近代美術館
http://www.shiga-kinbi.jp/copy_age/index.html

5年以上前の展示ですが、まだ特設ページが残っています。
上の方のタブをクリックすると、詳細が見られます。

「展示室2」・「作品紹介」では、『湖畔』をはじめ、
名画とそのコピーが比較できるようになっていて、
そのどちらにも福田とモリムラが登場しています。
posted by クラタ at 20:41 | Comment(2) | TrackBack(0) | 植物のアート