2010 04 08

Etwas von den Wurzelkindern

この年になって、あらためて絵本というものに接すると、
子どもの頃は気にも留めなかったはずの、
作者自身の人物像や作品への思い、出版へ至る経緯などに
自然と目が向いていることに気がつきます。

その中でもこの一冊に関しては、調べれば調べるほど
いろんな人が芋づる式のように登場するので、
ついつい追っかけてしまいました。

原作は、『Etwas von den Wurzelkindern
(エトヴァス・フォン・デン・ヴルツェルキンダーン)』。
直訳すると、「根の子ども」という意味だそうです。

Etwas von den Wurzelkindern
     ジビュレ・フォン・オルファース(文・絵)
     Esslinger Verlag 1906 Amazon

1906年にドイツで出版され、今も読み継がれる名作ですが、
作者のSibylle Von Olfers(ジビュレ・フォン・オルファース)は
肺病を患って、1916年に34歳の若さで早世しました。

貴族の生まれで、早くから美術教育を受けていた彼女は、
ベルリンにわたり、作家で画家のおばの元で暮らしながら、
美術学校に通ってさらに絵の勉強を続けます。

その後、24歳で修道院に入り、カトリック系の小学校で
美術を教える傍らで、宗教画を描き、絵本を制作しました。
10年という短い期間の中で、8冊の絵本を遺しましたが、
そのすべてが今も世界中の人々に愛されています。

宗教画家だったというのが納得できるストーリーと絵で、
妖精のようにかわいらしい姿をした子どもたちやお姫さまが、
自然界の生き物や現象を比喩的に表現しているのが特徴です。

お見せできなくて残念ですが、ファンタジーが苦手な私も、
オルファースの絵のかわいさには、まいってしまいました。
お花や昆虫、根っこに木に子どもたちの表情など、
精緻なのにコミカルで、色彩もやわらかく優しさに満ちています。

日本では3人が邦訳を手がけ、三者三様に趣きが異なります。
訳者ごとに1ページ分ずつ、同じ箇所を抜粋してみました。


【生野幸吉訳】

   さあ、そこで
 ねっこぼっこは、ひとりずつ、
  じぶんでぬったきものを
ぐずぐずしないでもってゆく、
   大地のおくの
  かあさんに、
    うまくできたか、
   みてもらうんだ。


【石井桃子訳】

 ふくが できあがると、根っこの おんなのこたちは、それを
もって、土のおかあさんに みせにいきました。
 おかあさんは、ゆっくり いすにすわって、あみものをしている
ところでした。いつも いそがしく はたらいている アリたちが、
おかあさんの おてつだいをしていました。
 おかあさんは、おんなのこたちが 春のふくを じょうずに
ぬってきたのをみて、たいへん よろこびました。


【秦理絵子訳】

できあがったら いそいそと
ひとりひとりが ふくを てに
やさしい 大地のかあさんに
しあがりぐあいを みてもらう


「ねっこぼっこ」へつづく)
posted by クラタ at 22:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 植物の本
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